2008年7月23日 (水)

第20章 折れた華と覆う雨雲(ARES作)

水華は歩いていた。
早く会わなければ。伝えなければならないことがある。
竜樹と章吾がこちらを認め・・・そして・・・名前を呼んだ。
焦った声だった。応えようとするが、体が重い。
声さえ出せず、あげようとした手もあがらない。
そこで、意識は無くなった。

「水華!?」
駆け寄る。しかし、横たわる水華は動かない。
「死ぬな!!!」
「落ち着け竜樹。確かに生きてる。手当てしないと。」
水華は傷だらけだった。着ている服は破れて、泥で汚れている。
「傷口は?」
「何が、あったんだ?」
数箇所の擦り傷がある。しかし、血まみれになるほどではない。
ではなぜ。なぜここまで傷ついている。
「魔法、か?」
竜樹はつぶやく。
「体全体を狙うような魔法と、内臓だけを狙った魔法。その両方だ。」
冷静に章吾が言う。
「えっ。赤の魔法と、青の魔法?」
「そう。その、両方が、傷つけた。」
何が敵なのだろう。

雨が降っていた。

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2008年3月26日 (水)

第19章...レイケツ

さっきまで面白おかしく談笑していた時が

一瞬にして失われた。


時が止まるとは、おそらくこのことなのだろうと、

俺は涙を浮かべながら頭にかすめる。
                                                                                                                                                                                                                  

俺は  もう……。

                                                                                                                                                                                                          

穏やかな空気に終止符が打たれ、

ましてやそれの正体は、

いや…姿は、

オレ達の望んでいたものじゃなかった―…。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

「水華ァァァアッッ!!!!」
                                                                                                                                                                                                                                                                             


「あ……?」

                                                                                                                                                                                                                                                                             

目の前に飛び込んできた光景は

悲しいほど自惚れてたさっきまでの自分が

忘れてしまうくらい


信じがたい光景だったのだから。

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2008年1月14日 (月)

第18章 理由は、ない。 ~snow~

「あのさ。彰吾。」

「あん?」

今まで何だかボーっとしていた竜樹に突如話しかけられて、彰吾はそちらを向いた。

「お前さ、なんでこんな修羅場になるまえに、いつだって逃げられたのに・・・・ずっとオレと、一緒にいてくれるんだ?」

「え?・・・いや、俺そっち系じゃな・・・・・「それはわかる。」

何か深刻そうだったのでちょっと路線を変えようとした彰吾を竜樹が即座に制す。

彰吾は諦めて本気で答える事にした。

「理由は、ない。」

「へ?」

「理由はないけど、確信があんだよ。」

彰吾は白んできた空を見上げて笑う。

竜樹はその彰吾に首を傾げた。

「どういう意味?」

「説明すんのは難しいけどさ。たしかにな、お前といるとトラブルに巻き込まれまくるし、お前思いっきり天然だから突っ込むのにも疲れるし、本格的に殺したくなる事だって日常茶飯事だけど・・・・」

「・・・・・。」

「でもな。でも、なんだよ。」

コツンと軽く、竜樹の頭を彰吾が拳でついた。

「いったっ!」

「・・・・・・・・お前といると、退屈しねぇからさ!」

「・・・・どういう意味だよ!」

彰吾は笑って駆けだした。竜樹も笑って彰吾を追う。

本当に彰吾が言いたかった事は、こんな事じゃないのだけれど、

きっとこれを言ったら竜樹が天狗になるからいってやらない。

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「お前はいつだってオレに、勇気をくれるんだからな。」

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2007年12月26日 (水)

第17章 華に伸ばされた手(ARES作)

顔が赤い。そう言われてみれば、動揺していた。突然、恋だとか言われて、それで動揺した。そう言い訳することはできた。けれど、竜樹には自分の思いを否定してまで言い訳をする、そんな愚かさは無かった。
思わず、「自分の頭の中がピンク色に染まっている」そんな想像をしてしまうが、「いけない」と思い直す。どうでもいいことを考えていられるわけがない。現状では。
どうでもいい・・・何が?水華のことが?
そんなわけがない。大切な仲間だ。嘘じゃない、嘘なんかじゃいえない。でも、それだけかと訊かれたら?
一度、華に手を伸ばしたら、その手を引くことができるのだろうか?
嫌いじゃない。どちらかといえば、好きだ。

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2007年11月22日 (木)

第16章恋花(季奈子)

「クフフフフ・・・」

「ぅん?何だよ気持ち悪いな」

合流したかと思えば急に笑い出す彰吾。

俺はなんだが冷やかされたような気分になって、

訝しげにそう聞いた。

「いやいや…水華がいないみたいだからさ、

さぞかし竜樹は寂しいだろうなぁ、手思いまして」

そしてニタァ、とこちらを見ながら彰吾は答える。

「水華」

彼女の名前を聞いただけで急に胸が締め付けられるように苦しくなった。

動揺…してるのだろうか。

あの冷静で何でも一人で抱え込んで、

しかもかっわいくないとこがある水華に?まさか・・・。

「はぁ!?どういう意味だよ!だいたいなぁ・・・」

俺は何とか言葉を絞って言い返したが、彰吾はまた、

いや、さっきよりもさらにニヤケながらコチラを見ている。

「んんー?返事が遅いぞ竜樹君!!

あらら・・・?まっさかー…恋!?」

一瞬、彰吾が言葉の語尾に発した単語を聞いて、びくりとする。

彰吾はまた、こちらをみてニヤニヤニヤニヤニヤ。

その目はまるで、俺の考えている事を見透かしているようだ。

「・・・。」

あまりにも言い返す言葉を考えてる時間が長く、黙ってしまった。

しまった、と思ったのもつかの間、彰吾は

「竜樹君は水華ちゃんが好きなんだな!?」

と、こんなストレートな質問を用意してきた。

「お・・・俺は」

「俺は!?」

「俺は水華のことは友だちとしか思ってない!

 水華は・・・水華は仲間だーー!!!」

流れを帰るために大声を出しながら反論してみた。が…

その行為は彰吾には効果は無く、

「よくぞ言ってくれました」と言わんばかりの表情でこちらを見ている。

「…竜樹、お前」

「なんだよ」

「赤くなってやーんの!!」

「!!!!!!!!!!!」

そ・・そんなのッ

自分の表情なんかわかるか!!!

「う・・・うるせぇ!!とっとと水華を探しに行くぞ!!!!」

俺はもうこの空気に耐え切れなくなり、彰吾を無視して歩き出した。

「へーいへいへい。水華のことばっかりなんだからー

・・・語尾にゴニョゴニョとなにか聞こえたが、

聞こえないフリをしよう。

こんなやつにかまってるより、今は仲間を探すのが先決だ―ー…。

むりやりそう考えて、俺は再び歩き出した。

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2007年9月 3日 (月)

第15章 苛立ちから・・・・≪作*snow≫

「くっそ・・・・何だってんだよ!!」

どかっと、彰吾は地面を蹴った。

竜樹の言った意味は、未だわからないまま。

わからない自分がもどかしく、突然わけの分からない事を言い出した竜樹にも腹が立った。

「レーダーに映るのが全てじゃないとして・・・。どうして水華かどうかがわかったんだよ。・・・っていうかあれは水華なのか?それとも別人なのか・・・・?」

混乱し過ぎて、余計に思考が空回りする。

どうして良いのかわからない。

「竜樹が戻るまで、まだ7分もある。それまで、ここでこうやって・・・。自分に腹を立てながら・・・待ってろって言うのかよ・・・・。」

そこまで考えて、一瞬にして彰吾に冷静さが戻る。

「・・・・俺が腹立ててるのって・・・・結局は仲間のことでじゃねーか・・・。それって・・・もしかして竜樹がいいたいのって・・・・」

レーダーに映るのは、赤いバッジと青いバッジ。つまりエンブレムに仕込まれた発信機によるもの。

まぁ、茶番劇には最適の小道具だったわけだが。

それがいま、通用するはずがなかったのだ。

「茶番である事を知ったオレ等。俺等が知ってる事をしってるボス達・・・。発信機も、くるわされてておかしく無い・・・。しかも・・・・あのレーダー・・・!!」

彰吾は気付いた。

あのレーダーには、映るはずの無い人物がくっきりと映っていたではないか。

エンブレムを捨てた、もしくは置いてきていた彰吾と竜樹の姿が。

「すっかり騙されていた!!おれはアホだ!!」

「おー。やっときづいたか。」

「どわっ!!竜樹!」

10分たっていたらしい。そこにはさっきと違い、少し吹っ切れた表情の竜樹が立っていた。

そして。

「さて、水華を探しに・・・・ふごっ!!」

彰吾は渾身の力で竜樹を殴った。竜樹はばたっと倒れこむ。

「なにすんだよ!!」

「いや。ニセモノダト困るから。それ+この間のチクッタ分。魔法使わなかったトコから見て、どうやら本物らしいね。」

拗ねたように膨れる竜樹を見て、彰吾はクスッと笑った。

コレでこそ。竜樹だ。

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2007年8月30日 (木)

第14章 伸ばす手の先に(ARES作)

「無意味なんだよな。」
竜樹がつぶやく。
「レーダーなんて見て、本物かどうか見て。レーダーに映るのは敵って習ったのに。敵のマーク見て、本物だって思って。こいつは水華だって思った瞬間に俺は、こいつは敵だって思ってるんだ。」
「何を言ってる?」
「俺たちは無駄なことをしているんだ。レーダーに頼るからこそ本当の仲間を見分けられない。レーダーが映すのは、赤とか青とか、過去のことだ。俺たちが見たいのは、レーダーが映さない仲間。それを忘れてるから、こんなことになったんだ。」
「そんなことを言ったって、どうするんだよ。意図は分からないし、本物か偽者か分からないやつらが現れる。」
「もう1度、やり直そう。10分後に、もう一度会うんだ。同じ青の組織に所属するもの同士の判別ができない以上、レーダーを頼るのは危険だ。俺はお前の正体に怯えたくはない。」
「どうしろっていうんだよ。俺にだってお前の正体は分からない。俺だって恐い。」
「俺は、10分後にはレーダーを捨ててくるから。10分あれば始末できるし。」
それだけ言うと、竜樹は走り去った。Photo

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2007年7月26日 (木)

第13章 狂気(作:季奈子)

―ドクン―

その時、竜樹の心臓に懐かしい痛みが走った。

「み…か?」

水華を抱えた彰吾が、

恐怖に震えているのか 友を想っているのかわからない表情で呟く。

―ドクン―

さまざまの事がフラッシュバックして頭を駆け巡り

それと同時に無惨な姿に変わり果てた水華の姿が脳裏に焼きついた。

―ドクン―

 は

   赤い・・・

           みか。

ぬ?

ぅ  き

   りゅ・・・

     

「りゅぅき…竜樹!!!!!!!!」

竜樹は声がするほうへ振り返りました。

そこにはなぜか、もう一人の彰吾がいます。

「・・・・あ??」

前方には水華を抱えた彰吾。

後方には水華に槍を投げた彰吾が立っています。

後者は服を汗がすっかり濡らし、

ところどころに返り血を浴びた跡がうかがえました。

「ドッチダヨ ニセモノ」

竜樹の声が重い沈黙を破った。

しかし、さっきまでの竜樹の気配は消え そこにはまるで別人の竜樹が立っている。

「竜樹…???て、えぇぇ!?俺が二人?」

水華を殺した竜樹は

水華を抱いているもう一人の自分を見て驚いている。

「あ・・・。水華のフリをした敵がいれば、俺のフリをした敵がいるのもありえるな。」

「・・・・・・・。」

竜樹はうなずきも首を横にも振らずに黙ったまま。

「竜樹!!落ち着いて聞いてくれ。

日が上ったら俺とお前が話し合った場所へと戻ろう…

そういう話を交わし、俺と水華は別行動を取った。

けれどその時、「今の状況じゃあ何が起こるかわからないから」って

お互いの居場所が分かるレーダーを見て行動をするよう水華と確認した。

水華は元赤の組織、そして俺は元青の組織だろ?

それぞれの組織が持っているレーダーは敵の居場所が分かる。

・・・つまり、そのレーダーを持っている限り

俺は水華の居場所がわかって 水華は俺の居場所が分かる。

…もっとも、青の組織か赤の組織か、てことしかわからないけど。

この死体の反応は青の組織の反応がする。水華じゃないんだ!!

俺のフリをしたコイツも、反応は俺と同じ青の組織だけど

俺は俺。組織の中にも色々な能力を持つヤツがいるから・・・」

「そうか。」

竜樹は誰に向かっての返事か分からない台詞を吐いた。

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2007年5月 9日 (水)

第12章 ピンチ再び*snow

「しっかし・・・・・。」

竜樹は困ったように頭を掻いた。

「やっちまったなぁ・・・・。どーしよ。・・・・・・ってあれ?俺、今一人?置いてかれた・・・?」

竜樹はキョロキョロと周りを見回す。

水華も彰吾も、とっくにいなくなっていた。そして、ボス達もここには居ない。

「・・・・って・・・・これってチャンスじゃね・・・?」

竜樹はこそっと部屋を出ると、いつもなら監視カメラをかいくぐって散歩しているコースを駆けた。

幾ら部屋の中のモニターが壊れていても、ボス達は小型のものを持ち運んでいるかもしれない。

「よかったー。監視カメラ探知できる コレ もってて。」

竜樹はポケットからペンダントらしきものを出した。

それは鈍い青に光る、オデムの前の青のボスが持っていたカメラ探知機。

「ボス・・・。アンタが目指した世界・・・・平和は、遠いみたいだよ。」

夜空に星が瞬きだす。やっと、いつも夜仮眠を取る場所へ出た。

「広いよなぁ・・・・この組織も。」

「・・・・・・!!りゅ・・・・竜樹!!」

「無事だったのかよこの阿呆!!」

「え。」

突然後ろから抱きつかれ、前からは渾身の力でぶん殴られた。

竜樹はその二人の顔を見て、一瞬安堵を見せた後、いぶかしげな表情に変わった。

「どうした?」

「彰吾、水華。お前等じゃねぇの・・・?カメラ細工したの・・・・。」

彰吾と水華は顔を見合わせ、首を振った。

「私達も別行動だったんだが・・・・私は何も・・・。」

「俺もなんもしてネーぞ。てっきり俺は竜樹はもう・・・・」

そのとき。3人は殺気を感じ、身構えた。

しかし、時すでに遅し。

「ぐあっ!!」

『水華!?』

5メートルもあろうかと言う槍が、水華の身体を貫いていた。

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2007年4月30日 (月)

第11章 騒ぎ出す人間達*ARES

逃げるしかないことは分かっていた。
「彰吾。言いたい事は分かるよな?」
「・・・。あぁ。」
「ならば、あいつのことは後だ。月が昇ったら、竜樹が裏切ったとお前が騒いだ場所で。」
無言のまま、水華は立ち去る。彰吾も反対方向へと歩いていった。

そのころ竜樹は、赤と青のボス達の前に立っていた。
「赤のボスの姿で現れるとは思いませんでした、ディフォーネ幹部。いえ、元幹部、ですよね。俺は、正式に青の組織に入ったとき、あなたに言われた。裏切り者、と。あなたのような人間を裏切り者というのですよ。」
「ディフォーネ、どういうことだ?」
「オデム、知っている通り、私は青の組織の元幹部。しかし、安奈昔のことを思い出されるとは思わなかった・・・。厄介な相手に見られてしまった。」
「ディフォーネ、どうするつもりだ?相当まずい状態なのだろう?」
「今までにここに来たやつらと同じ扱いで構わないかと。」
「そっちの話、終わった?つまらないんだけど。」
「竜樹、口を慎め。」
「俺を殺す相談をしている人の命令に従うとでも?」
「もう一度言う。口を慎め。」
ザー・・・
妙な雑音だった。
「オデム、モニターが。」
「ディフォーネ、至急、原因を調査させよう。」
モニターには何も表示されていなかった。カメラからの映像が途絶えている。
2人のボスは、部屋を出て行った。

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